考 現 学

〜目的なくただ気づいたことを書き続けるという営み〜 「誰もが簡単に書くことができる時代」だからこそ「書くことが開く可能性」を

「永久の未完 これ完成である」

「永久の未完 これ完成である」

(農民芸術概論より)



「ほんとうのほんとうのこと」

吉本隆明の宮沢賢治評 - 勇気と想像力、そして少々のお金


第2回目の宮沢賢治読書会を行いました。
さまざまなテーマで宮沢賢治に関して意見交換や情報のシェアを行いましたが、やはりぼくが一番心に残った内容は、「ほんとうのこと」という内容です。

宮沢賢治はきっとこの「ほんとうのこと」をずっと追い続けてていた人なのだとおもいます。僕たちはいつでもこの「ほんとうのこと」をしたいと思っている存在なのだとおもいます。
その「ほんとうのこと」というのは、
人間にとって「いいこと」とか、「正しいこと」というふうに言えるのかもしれません。
この「ほんとうのこと」をやっているつもりでも、
僕たちはいつまでたっても「ほんとうの幸せ」「ほんとうの豊かさ」を手に入れてることができません。

だからこそ、僕たちは、「ほんとうのほんとうのこと」を追い続けなければなりません。
ほんとうのほんとうのことは、きっと言い切ることができるものでもなく、
何か固定的な答えあるわけでもなく、
いつも流動的に変化しているものであって、
僕たちはいつもそれを追いかけていかなければならないのだとおもいます。

けっしてたどり着けない「ほんとうのほんとうのこと」

僕たちが正しさを正しさとして言い切った時、
僕たちがいいことをいいことと言い切った時、
それはすでに正しいことでもなく、いいことでもなくなってしまうのです。

いつも僕たちはほんとうの正しさを、ほんとうのよきことを追い続ければいいのです。

ほんとうのほんとうのことは、まさに未完のものであるのです。

ぼくたちが完成を目指しながらも、完成にたどり着けないこの暗闇こそ、
もうすでに完成という状態なのかもしれません。